自宅サロンは怖い?怖さの理由や自宅開業のメリット・デメリットも紹介
記事の監修石川博幸(いしかわひろゆき)
2020年からレンタルスペース業界に参入、レンタルスタジオとレンタルサロンの運営を開始。
2024年には民泊事業も展開、運営開始。
お客様対応、清掃などに力を入れておりお客様より評価の声を多数いただいております。
現在では、レンタルスタジオ1店舗、レンタルサロン2店舗、民泊1店舗の運営をしており、今後はノウハウの展開などにも力を入れていく予定。
個人でサロンを開業したいと考えたとき面倒な手続きをしなくてもいい、できるだけ簡単な方法を選びたいですよね。選択肢はいくつかありますが、いちばん手間がかからないのは「自宅サロン」です。
でも自宅サロンには「怖い」というネガティブなイメージがつきまといます。
「怖い」とは誰にとってなのか?なぜそう思われるのか?自宅サロンの現実と抱える問題点を解説します。
自宅サロンを成功させたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
自宅サロンとは?
自宅サロンとは、自分が今、住んでいる家の一部をサロンスペースとして営業する形態です。アパート・マンション・一軒家など家の種類は問いません。
プライベートサロンと自宅サロンの違い
自宅サロンとプライベートサロンは居住スペースの一部かどうか、という点に違いがあります。
プライベートサロンはアパートやマンションの一室をテナントとして借りている小規模サロン、自宅サロンは自宅の一室をサロンとして使っている店舗を指します。
自宅サロンのメリット・デメリット
自宅サロンのメリットは手軽で、始めやすいことです。
自分の家なので通勤時間がなく、家事や育児とも両立しやすい環境なので、お子さんが小さくて仕事ができないなどの悩みを解消できることもあります。
デメリットとして大きいのは防犯面。
自宅サロンは特定商法取引法では表示を義務付けされているため、住所非公開にすることはできません。そのため多くの方に自宅を知られてしまう危険性があります。
また自宅サロンができない地域もあります。第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、田園住居地域では、自宅の一部でのサロン運営ができないとされているので確認が必要です。
自宅が駅から遠い、住宅街にあってコインパーキングがない、など場所の問題で集客しにくいこともあります。
自宅サロン開業に必要な資格
自宅でエステサロンを開業する際に、エステティシャンという国家資格はないため、原則として資格や免許は不要ですが、お住まいの地域を管轄する税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」という届出をする必要があります。
ただし、この開業届を出さなければ罰則があるというわけではありませんが、税金面でのトラブルを未然に防ぐためにも、届け出をすることをおすすめします。
美容師免許などの国家資格を使って施術を提供する場合や、首から上のフェイシャルエステを提供する場合には、「美容所」として保健所へ届け出る必要があります。
例えば、まつ毛マットやまつ毛エクステを提供するエステサロンを開業する場合、開業前に保健所に届け出る必要があります。
自宅サロンの開業では資格・免許は不要とお伝えしましたが
- AJESTHE認定(上級)エステティシャン
- CIDESCO国際ライセンス
- AEA認定エステティシャンエステティシャン
などの資格を取得しておくと、スキルの証明になるほか、サロンの信用度も高まります。
エステティシャンとしての基礎知識をしっかりと身につけ、顧客満足度アップに役立てましょう。
自宅サロンは怖い?
「怖い」と言われることの多い自宅サロン。そう感じているのはお客様だけでなく、オーナー側にとっても怖いと思う要因があります。
それぞれの立場から見た不安とは一体、どんな内容なのでしょうか?
お客様の不安
お客様が抱える不安は「すぐに逃げられない状況」に飛び込むことにあります。それが相手のテリトリーの中だったら、怖いと感じるのは当然です。
詳しくみていきましょう。
・初対面の人と1対1になる
初対面の人と会うのはどんな状況であっても不安なものです。どんな人が待っているのか、対応はどんな感じなのか、実際に会ってみるまで分かりません。お客様はドアを開けることにも勇気が必要だし、顔を合わせるまで、このサロンを選んで正しかったのか迷っていると言っても過言ではありません。
・密室になる
自宅サロンは密室です。知らない場所で知らない人といきなり密室で2人きりになるのは、誰にとっても怖いです。
施術によっては服を脱ぐ、貴重品を預ける場合もあります。そんな状況の中「しつこく勧誘されたらどうしよう」「必要以上にお金を請求されないか」「トラブルが起こったらどうしよう」とお客様は常に緊張しています。
・情報が少ない
お客様が興味を持ったのだから、施術や内容については魅力ある説明がされているのでしょう。
でも施術を受けるスペースはどんな場所なのか、全体の流れはどうなっているのかなど、施術以外の部分について、詳細が分からないときがあります。いくら施術を受けてみたいと思っても、それ以外の情報がない状況では気持ちは休まらないままです。
・状況が分からない
自宅サロンの場合、自宅にほかの家族がいるのか、サロンの立地はどんな場所かというのも気になります。
営業中、家族は在宅しているのか?その場合、施術に集中できる環境なのかも気になります。非日常の時間を過ごしたいから、お子さんの泣き声が聞こえたり、ほかの家族の生活音が響いたりするのではないかと心配するのはイヤですよね。
また自宅サロンの立地が住宅街だと、万が一のとき周辺に助けを求められないのも不安です。
・オーナーのスキルが分からない
自宅サロンとなると、オーナー自身が宣伝広告やSNSで発信することになりますが、オーナーのスキルが分かりづらいことが原因で、集客につながらないことがあるはずです。
これまでの経験やスキル、実績など、アピールポイントを探して発信し、どのような技術・資格を持っているのか、他のサロンと比較して負けない点や特徴など、初めての人にも分かりやすいよう、多くの人に知ってもらうような工夫が必要になります。
ただし資格に関しては注意が必要で、リラクゼーションを目的としたエステティックは資格がなくても開業できますが、施術内容によっては、国家資格が必要なものもありますので、しっかりと確認してから、宣伝などを行うようにしましょう。
自己紹介やスキル・資格などを整理できた後は、「自分がお客様だったら、このサロンを利用するかな?」といった視点で見直してみるといいかもしれません。
・トラブル発生時の対応が気になる
サロン内でトラブルが起きることも予想されますが、自宅サロンでは、トラブル時の対応が心配といった声もあります。
エステサロンなどで多く発生するトラブルとしては、「皮膚に赤みが残った」「ブツブツができた」といった皮膚トラブルやアレルギー反応、転倒やケガなどが考えられます。
お客様の不安解消のためにも、施術前に同意書を交わしておくことが重要で、施術に関する注意事項やリスク・アフターケアに関する注意事項・キャンセルポリシーなどについて事前に説明を行い、責任ある契約を結ぶことが重要です。
お客様だけでなく、自分自身を守るためにも、月々の保険料が発生しますが、賠償責任保険に加入しておくと安心です。
トラブル発生時の対応については、しっかりと対策しておきましょう。
オーナー側の不安
オーナー側が怖いと感じる点は、家族との関係や防犯面、集客など、サロンを営業する期間はずっと続くものです。
具体的にどんな不安があるのでしょうか?
・家族の理解が必要
自宅で営業するのですから、一緒に生活している家族の協力は必須です。
でも自宅に他人が出入りすることをよく思わない人も、少なくありません。テレビの音や子どもの声など配慮しなければならないことが多く、窮屈に感じる家族もいるかもしれません。家族には負担をかける可能性もあります。
メリットデメリットを含め、家族が納得して協力してくれるように、話し合いをしましょう。家族の理解が得られなければ、諦めるくらいの覚悟が必要です。
・他人に家の中を知られる
自宅サロンのオーナーにとっていちばん怖いのは、知らない人に家の場所どころか、家の中まで見られてしまうことです。
間取りや出入り口を知られてしまうと犯罪に巻き込まれるリスクも高まります。それを回避するための対策はしっかりしておく必要があります。
サロンに訪れる人はほとんどが癒しの時間も求めて来てくださるお客様です。ですが残念なことに違う目的で訪れる方もいます。
少しでもおかしいと思ったらお断りする勇気も持ちましょう。
・初回来店のハードル
自宅サロンはどんなにクオリティの高い施術をしていても、最初に足を運んでもらうのは大変です。多くの方は口コミを見て、だいたいの雰囲気を確認しますが、その口コミも100%信用しているわけではありません。
HPやSNSを使って、どんなサロンで、自分はどんな人柄かなどを紹介して、信頼していただくのがもっとも有効ですが、そのためにはかなりの労力やセンスが必要です。
「初回無料」という方法で集客するのも効果はありますが、労力がかかり負担が大きい割に、固定客がつく保証はありません。質の高い施術ができなければ1回だけ利用するお客様が増えるだけ、ということになりかねません。
・リピーターの定着が心配
リピーターのお客様は、サロンを安定した経営を続けていく上でとても大切な存在であり、「また来たい」と感じてもらうための工夫が何よりも重要です。
もし初回の施術で自宅サロンに満足してもらなければ、次回も来店してくれる可能性は低くなってしまうかもしれません。
次回来店時に使える割引券やクーポン、ポイントカードを作って、お客様に直接手渡しすることや、初回時に丁寧なカウンセリングを行いカルテを作るなど、定期的に通うことのメリットを感じてもらうことが欠かせません。
また、バス停や電車の駅から距離があり、自宅へのアクセスが悪い場合には、駐車場を確保することで、リピーター率がアップすることもあります。
駐車場を新たに契約するとなると、コストがかかってしまうため、もし自宅の敷地内に駐車スペースを確保できそうなら、お客様専用駐車場として開放するというアイデアもあります。
「次もきっと来てくれる」と自信を持って言えるまで、工夫を凝らしてみましょう。
どんな形態のサロンを選ぶ?
サロンの業態は大きく分けて「自宅サロン」「レンタルサロン」「店舗サロン」の3種類があります。
それぞれの特徴を解説します。
賃料がかからない「自宅サロン」
自宅サロンの最大の特徴は費用が抑えられることです。開業時に必要な費用は20万~30万円程度です。内装や空調工事費や消耗品や備品などの費用、エステ機器の購入費用も準備しなければなりませんが、多く見積もっても100万円程になります。宣伝費はSNSや無料の情報誌などを使用すれば費用はかかりません。
さらにプライベートサロンや店舗サロンと違い、賃料がかからないので固定費が削減できます。
・自宅サロンの口コミ
自宅サロンの口コミはお客様側、オーナー側、どちらのものもありました。
お客様からの口コミで多かったのはフットワークの軽さへの評価。
9時からオープンで早めに活動出来るので助かります!
分かりやすい場所でしたし、話しやすかったので、色々と相談にのって頂き的確なアドバイスをしてもらえました
施術中に身体や毛の状態を教えてくださり、臨機応変にメニューを変えたり選んだりできました。その際、料金もちゃんと伝えてくださり確認しながら進められ、強制や勧誘もなく気持ちよく脱毛ができました
お家サロンでいつも寛いで楽しく話をしながらやってもらってます
突然の変更にも快く受けて下さり、とても綺麗に施術して頂き満足です♪楽しかったですし部屋も可愛く素敵でした
など、予約の変更や、お肌の状態に応じて臨機応変に対応してくれるなど、お客様の都合に合わせられる点が人気でした。
気になったのは悪い口コミが見当たらなかったこと。
どんなに心を込めておもてなしをしても人には相性がありますから、合わない場合は必ずあります。そういったネガティブな口コミが見当たらないのは不自然です。
設備が整っていて、リーズナブルな「レンタルサロン」
レンタルサロンとは「サロンを時間単位で貸すサービス」です。事前予約をすることで、その時間内は自由に施術を行うことができます。利用料金・時間は1時間単位で決まっていることが多いですが、サロンによっては1週間、1ヶ月単位で借りることもできます。
レンタルサロンを利用すると開業時の内装工事費、大型の備品といった費用や、毎月かかる賃料などが抑えられるので、初期費用の悩みを解決できます。
駅から近い、人気の場所という好立地なら、集客しやすいといいうメリットがあります。
設備や備品が整っていることも多く、タオルなどがレンタルできるサービスがある場合は最低限の荷物で移動でき、負担がありません。
将来的にテナントサロンを持ちたいと考えている方が資金を貯める期間や固定客をつかむという目的でレンタルサロンを利用するのもいいでしょう。
デメリットとしては直前の予約が取りにくいことが挙げられます。
・レンタルサロンの口コミ
レンタルサロンの口コミはオーナー側からのものがほとんどでした。お客様は純粋に施術を楽しむことができ、サロンに対する不安は感じていないようでした。
レンタルサロンで重要視されているのは清潔感・備品の充実・使いやすさ・お客様にとって快適な空間かという点であることが、口コミから伺えます。
部屋がとても綺麗で設備もすごく充実していました。タオルケットやバスローブなどもちゃんとあり、お客様がリラックスできる空間や配慮がしっかりしているなと思いました。また利用したいと思いました
ベッドの高さもちょうど良く体重圧もかけやすかったです!
カーテンもあるので半個室のようにも利用できるので人目気になる人でも大丈夫だと思います
安くて駅から近というのが魅力です。車の方も、近くに沢山駐車場もあり困りません。ビル自体は古い建物ですが、サロンは常に清潔感があり、いつも整理整頓されていて、大変気持ちよく利用できます
申込みから利用当日まで、丁寧にメッセージ頂きました。こちらの都合で何度も時間変更をお願いした際には心よく対応して頂きました
当日、隣室が空いていたのですが、もし利用されてたら声等聞こえる環境な点を除けば理想的なスペースです。両室借りて、一つを待合室にするのもありかと思いました
など、実際に利用して感じたいい点、悪い点を率直に寄せていました。
レンタルサロン側も利用者の声を聞いて改善するというウィンウィンの関係性が成立していました。
一からすべてを立ち上げる「テナントサロン」
テナントサロンは決まった場所で営業するサロンです。形態はさまざまで「ビルの1フロアを借りる」「商業施設内の一角を借りる」などのスタイルがあります。いずれのスタイルでも安心感があり、お客様が入りやすい環境です。
もちろん開業時の資金や手間はほかの形態のサロンとは桁違いにかかります。
物件を決める、備品や設備を選ぶから内装、それに伴う手続きなど、すべて1人でやらなければなりません。開業資金も300万〜500万程度は準備する必要があります。でもテナントサロンは内装にもっともこだわることができます。間取りから床材、インテリアなど、自分が演出したい空間でお客様をおもてなしできます。
また商業施設の中にある場合は、お買い物ついでに寄ってくれるお客様の期待できます。広告費をかけずに集客することも可能です。テナントサロンはかかる資金も手間も大きいです。初心者でいきなりチャレンジするのは危険かもしれません。
・テナントサロンの口コミ
テナントサロンの口コミもオーナー側からのものです。
いちばん苦戦するのはテナント探し。どんなところで募集しているのか分からないという口コミが多くありました。
テナントサロンを探すとき、役に立つのが店舗専門の不動産サイトです。サロンに特化した不動産サイトもあり、専門家が相談に乗ってくれることもあるので利用してみてもいいでしょう。
自宅サロンはなぜ失敗する?
自宅サロンは始めるのは簡単でも、続けていくのは至難の業です。
新たに開業した自宅サロンの約60%は1年以内に、約90%は3年以内に廃業してしまうといわれています。
自宅サロンはなぜ失敗するのでしょうか?
非日常感がない
お客様がサロンに求めているものは何でしょう?クオリティの高い施術はもちろんですが、癒しの時間や非日常では味わえない体験などもサロンを訪れる目的です。
そこに生活音が聞こえてきたらがっかりしますよね。
この場所がお客様のためだけの場所であること、それを五感で感じてもらえるようなサロン作りをしないと、お客様はほかのサロンに行ってしまいます。
情報がない
いまは調べればある程度の情報を得られる時代です。お客様は情報を見慣れています。最低限でもお客様がほしい情報が網羅されていないと、違和感を覚えます。最低限の情報に加えて、人柄やこだわりをオープンにし信頼してもらわなければいけません。さらにセンスのよさなどの付加価値を感じられるよう工夫が必要です。
イヤなお客様を断れない
サロンを開業したばかりの時は、特に、せっかく来店してくれるお客様を断ることができず、トラブルに巻き込まれることもあります。
よくある事例としては、「止めてはいけない場所に駐車し、近隣住民に迷惑をかける」「料金のサービス以上のことを求めてくる」「予約時間よりも大幅に遅れてくる」といったことがあります。
トラブルを防止するために、ルールや基準を設けてあらかじめ公表しておくことや、勇気を持って利用をお断りすることも、トラブルが発展する前に必要かもしれません。
利益のためには仕方ないと我慢し続けると、サロン継続のモチベーションが下がり、失敗につながってしまうでしょう。
副業の感覚で始めてしまう
家事や子育ての合間に、ちょっとした副業として始めたいと考えてしまうと、失敗しやすいかもしれません。
初回は割引クーポンを活用したり、友だちに声をかけたりして利用してもらえますが、満足度の高い施術メニューを提供しないと、次回の来店にはつながらないでしょう。
また、利益が出るような価格設定や集客方法も考えなくては、赤字になってしまいます。
さらに、副業として自宅サロンを開業し、ある程度の利益を得たら「個人事業主」として税務署に確定申告書を提出する義務があり、自宅で開業している場合でも、確定申告の提出を免除されることはありません。
「お小遣い程度の収入が得られたら」と気軽に始めたものの、想像以上の負担がある、と感じてしまうと、サロンの継続が難しくなるかもしれません。
自宅サロンならではの魅力がない
自宅サロンならではの魅力を発信しないと、テナントなどで経営する大きなサロンを差別化ができず、失敗につながってしまいます。
特に大手サロンのような施術を提供したいと考える方がいらっしゃるかもしれませんが、高額な設備投資をしているため、個人のサロンが同じようなサービスは提供できません。
そのため、自宅サロンならではの魅力を作り出すことが重要です。
カウンセリングに時間をかけてお客様の悩みをじっくり聞く、早い時間帯に予約を受け付けるなど、きめ細やかな対応ができる点も、自宅サロンならではの魅力になりますので、積極的にアピールしましょう。
まとめ
サロン開業は夢のスタートです。ずっと続けていくためには自分を知ることが大切です。
最初から「これ!」と決めるのではなく、自分を見極める時間はレンタルサロンを利用するという方法もあります。
自分の技術やこだわりを表現できるのは、どんな空間がふさわしいのか。資金力や家族との関係、プライベートとの時間配分などをかんがえながら自分に合ったサロンを選びましょう。