レンタルサロンの種類を知って上手に活用!メリットや開業の流れなどを紹介
記事の監修石川博幸(いしかわひろゆき)
2020年からレンタルスペース業界に参入、レンタルスタジオとレンタルサロンの運営を開始。
2024年には民泊事業も展開、運営開始。
お客様対応、清掃などに力を入れておりお客様より評価の声を多数いただいております。
現在では、レンタルスタジオ1店舗、レンタルサロン2店舗、民泊1店舗の運営をしており、今後はノウハウの展開などにも力を入れていく予定。
レンタルサロンには、いくつかの種類があることをご存じですか?
それぞれに特徴やメリット・デメリットがあり、エステティシャンやセラピストとして独立を検討している方にとって、分かりにくい部分があるかもしれません。
今回、レンタルサロンを3つのタイプに分け、特徴やメリットなどをご紹介するほか、ご自分がどの施設を選んだらよいのかが分かるよう、解説も加えました。
最適なレンタルサロンを選び、開業を成功させましょう。
レンタルサロンとは?
まず、「レンタルサロンとはどのような施設なのか」から、ご説明します。
レンタルサロンとは、多目的に利用できるスペースを、時間単位で貸し出す施設です。1時間ごとに利用料金が定められているところが多く、利用者は事前に空き状況を確認し、予約します。
レンタルサロンの内装は施設によりさまざまで、エステサロンやネイルサロン、整体院として利用できる設備が揃っている場所が多いですが、施設によっては、ミーティングとして利用できたり、動画の撮影に活用されることもあります。
レンタルサロンは、利用する人の目的に合わせて、自分のやりたいことが実現できるスペースです。
レンタルサロンの種類を紹介
さまざまな用途に活用可能なレンタルサロンですが、いくつかの種類に分けられます。
ここからは、レンタルサロンを3つのタイプに分け、それぞれを紹介します。
完全個室のエステ専用ルーム型
貸し出される部屋がエステサロン仕様になっているエステ専用ルーム型というタイプがあります。
室内は完全個室で、マンションのワンルームのような、プライベート空間になっている施設が一般的です。
お客様とマンツーマンで過ごすのにちょうどよい広さのところが多く、静かな環境を確保できるため、エステ・ネイル・リラクゼーションなど、落ち着いた雰囲気を望むエステティシャン・セラピストに人気のスペースです。
施設により内容は異なりますが、基本的には、施術ベッドやスツール、タオルウォーマーなど施術に必要な設備や、バスローブ、タオル、スリッパなどの備品も準備されていることが多いため、エステティシャン・お客様ともに、身軽に利用できます。
事前の予約が必要ですが、直前の予約も受け付けているところや、平日の昼間の料金が割安なところなど、施設により、特徴はさまざまですので、気になるサロンがあれば、ホームページをチェックしてみましょう。
ただし、人気のサロンとなると希望する日時に利用できないこともありますので、こまめに確認することが大切です。
エステ専用のレンタルサロンなら、「すぐに仕事を始めたい!」という希望をかなえられます。
複数の人と利用するシェアサロン型
一つの広い空間を、いくつかの部屋として仕切り、そのスペースを利用するシェアサロン型の施設もあり、複数のエステティシャンやセラピストが共同で使用します。
またシェアサロンには、エステだけでなく、鏡やチェアがある美容師向けタイプなど、多目的な用途に利用できるところもあります。
先ほどのレンタルサロンと違い、床や天井にすき間があったり、仕切りがカーテンなど、完全個室でない場合があり、その点がデメリットと感じる人がいる反面、密室でないため、女性エステティシャンにとっては、男性のお客様を受け入れる場合、安心につながるというメリットがあります。
もう一つのメリットとして、シェアサロンは、他のエステティシャンやセラピストと交流しやすいという点があり、人脈やネットワークを広げたいなら、シェアサロンがおすすめです。
サロンと一口にいっても、施術内容はバラエティ豊かですので
- デリケートな施術やプライバシー、防音を重視するならレンタルサロン
- 完全個室でなく、交流も期待したいならシェアサロン
といった使い分けができます。
より具体的な特徴については、後ほど解説します。
営業中のサロンの一部を借りる面貸し型
営業中のサロンの一部を借りて仕事をするスタイルもあり、「面貸し」とよばれています。
シェアサロンと混同されがちですが、シェアサロンは全てが共用スペースであるのに対して、面貸しは、営業中のサロンの空きスペースを借りるスタイルとなり、一見すると、サロンの従業員のように見えるかもしれません。
面貸しは、美容師業界でよく行われている慣習で、フリーランスの美容師がヘアサロン内の一席を借り、売上の一部を使用料金として、美容室に支払うという流れになっています。
エステサロン業界でも、フリーランスのエステティシャンが活躍するスタイルとして、定着しつつあります。
レンタルサロン・シェアサロンの特徴
営業中のサロンで仕事をする面貸しと違い、レンタルサロンやシェアサロンでは、すでに設備が整っているわけではないため、「どのように仕事を始めていいのか、分からない」と不安を感じる方がいらっしゃるでしょう。
レンタルサロンとシェアサロンは特徴的に似た部分も多くありますので、ここからは両サロンに共通する特徴について、ご紹介します。
低コストで始められる
レンタルサロン・シェアサロンともに、費用をかけることなく、事業を始められるが大きな魅力です。
店舗を借りて事業をスタートするとなると
- 物件の契約金
- 設備や備品などの費用
など、初期費用の負担が大きくなり、スタートしてからも
- 家賃等の固定費
- 水道や電気などの光熱費
- 消耗品などの備品
が毎月必要になりますが、レンタルサロン・シェアサロンとなると、
- 家賃が不要
- 光熱費は使用した分だけの支払い
- 備品はレンタル可能
となるため、必要最低限のコストで独立開業が可能です。
施設により1時間単位の利用料金に差がありますが、1,000〜2,000円台で借りられるところが多い印象です。
またサロンによっては、LINEの友だち追加で割引になったり、平日限定のお得なチケットプランがあったり、お得なキャンペーンを展開していますので、上手に活用すると、さらに支出を抑えられます。
ただし、施設によっては、会員費が必要であったり、月額料金であったりといった違いがありますので、事前にホームページでチェックしておきましょう。
リスクを抑えられる
店舗や自宅サロンで開業するケースと比較して、リスクを抑えられるところも、大きな利点です。
資金面でのリスクを回避できるメリットは、先ほど説明しましたが、その他にも
- 保証人が不要
- 複数のサロンを使い分けられる
- 内装や備品を揃える必要がない
- 立地の良いエリアを選べる
- サロンの住所を公開できる
- 副業としても利用できる
など、お勧めポイントが数多くあります。
特に、通いやすい場所にサロンがあれば、集客が期待できるほか、サロンの住所を利用できるため、個人情報が守られ安全です。
最近では、週末の副業の場としても、レンタルサロンは人気があり、リスクを抑えながらも、自由に活用できる良さが大きな魅力の一つです。
売上アップの可能性がある
フリーランスとして働くことを選択すると、実力次第では、サロン勤務の場合よりも、売上を伸ばせる可能性があります。
またレンタルサロンは働く場所に縛られないため、競合店の少ない地域を選んだり、複数のサロンを併用したりといった働き方ができるため、集客アップにつながりやすい面があります。
お客さまや自分の都合に合わせて、予約を引き受けられる点や、自ら営業活動を決定できる自由さも、売上やターゲット客層の広がりへとつながるでしょう。
集客が難しい
エステサロンも他の業界同様、集客が難しいというデメリットがあり、特に、固定の店舗がないレンタルサロン・シェアサロンでは、その点をうまく乗り切るアイデアが成功の秘訣であり、とても重要です。
今、広告の主体は、手軽にアクセスできるSNSになっています。
サービス内容を、ホームページやInstagramで発信する、LINEでお得なクーポンを配信するといった方法が欠かせないほか、お客様からのレビューを掲載することも、集客の決め手です。
初めての事業となると、分からないことが多くあり、不安を感じることもあるでしょう。
不安解消のため、自分の目標に近いビジネスモデルを見つけ、参考にすることも大切です。
【レンタルサロンorシェアサロン】どちらが向いている?
これまで、レンタルサロン・シェアサロンの特徴について解説しましたが、「自分には、どちらが向いているの?」と疑問に思う方がいらっしゃるかもしれません。
両者の間には、利用条件に違いがありますので、その点に注目して、サロン選びの参考としてご覧ください。
レンタルサロンが向いている人
レンタルサロンは時間単位で貸し出す施設が多いため、最低限の費用で開業したい人や、既にリピーターのお客さまが多く、完全個室で仕事をしたい人に最適です。
部屋の中に、基本的な設備が既に揃っており、静かでプライベートな空間も確保できます。
ただし、施設によっては、「駅から徒歩すぐ」と書かれていても、初めての人には分かりづらい立地だったり、人の出入りが多かったり、「予想と違う」と感じることもあるため、実際に予約を取り、事前に雰囲気を確認することをおすすめします。
シェアサロンが向いている人
シェアサロンは、1ヶ月単位の月額制を採用しているところも多いため、リピーターがすでにおり、資金面にも余裕がある方におすすめです。
サロンによっては、歩合制を選択できるところもあります。
利用方法の例として、フリーランスとして働き始めた初期は、歩合制を選び、収入が増えたら、月額制を選ぶというスタイルがあります。
どの料金形態が向いているかは、個人によりさまざまですので、事前のシミュレーションをおすすめします。
施設によっては、 フリーランス同士のコミュニティがあるところがあり、初めての独立で不安な方やつながりが欲しい方には、心強いでしょう。
【レンタルサロン・シェアサロン】選ぶときのポイント
実際にレンタルサロン・シェアサロンを選ぶとき、どのような点に気をつけたらいいのかを、具体的に解説します。
無理なく支払える料金?
レンタルサロン・シェアサロンは、店舗を持つよりお金がかからないといっても、「毎月の収支はどのくらいになるのか?」と開業前に予測を立て、レンタル料金が無理なく支払えるか、把握しておくことが重要です。
毎月の売上や必要経費を予想し、収入がどのくらいになるのかを分析しましょう。
シェアサロンを借りて開業する場合は、時間制・月額制・歩合制の相場を参考にし、無理のない資金管理を目指すことが欠かせません。
設備や備品は充実している?
利用するレンタルサロンによって、設備や備品の充実度に違いがありますので、事前に確認するようにしましょう。
エステ専用のサロンなら施術ベッドやスツール、ハンガーラック、カウンセリング用の机などが揃っているところが多く、ガウンやタオルといった衛生用品、消耗品なども、基本的にはレンタルできます。
施設によっては、充実しているからこそ、レンタル料金が高額なケースや、ネイリスト向けの施術台やマッサージなどのリラクゼーション向けのベッドなどがない場合もありますので、注意が必要です。
トラブル防止のため、足りない備品は持ち込み可能かどうかも、事前にチェックしておきましょう。
規約をしっかり確認!
場所によっては、アロマやお香といった、匂いが室内に長く残るものは使用不可であったり、機材の持ち込みに制限があったりしますので、実際に利用する前に、規約や契約内容を確認しましょう。
ホームページの写真だけで判断してしまうと、実際に訪れたとき「内装や雰囲気がイメージと違う」「思ったより古い」となることもありますので、特に1ヶ月単位で契約を検討するなら、事前の下見をおすすめします。
【レンタルサロン・シェアサロン】開業までの流れ
ここからは、レンタルスペースを利用した、開業までの流れをご紹介します。
フリーランスとなると、全てを一人で行う必要があるため、不安を感じてしまいがちですが、早めに情報収集をして、負担を減らしていきましょう。
使用するレンタルサロンを決定
まずは、利用料金・立地・実際の雰囲気などを勘案し、ご自分にぴったりのレンタルサロンやシェアサロンを決定しましょう。
人気のサロンは、予約したい日時に満室の場合もありますので、複数のサロンを見つけておくことも良いアイデアで、実際に予約し、使い勝手や動線を確かめておくと、さらに安心です。
備品をリストアップ
多くの施設でほとんどの備品が揃っているといっても、「何も用意しなくていい」というケースはまれかもしれません。
開業にあたり、最低限必要なものをリストアップし、レンタルサロンにないものを準備しましょう。
タオルやガウンなどの衛生用品・施術に使う化粧品類・ドリンク類やお菓子など、エステティシャンのこだわりの品を提供すると、お客様の満足度もアップするでしょう。
開業届の提出
フリーランスとして活躍するには、開業届の用意が必要となり、開業から1ヶ月以内に管轄の税務署に提出しなければいけません。
さらに、毎年の確定申告も必要となります。
会計ソフトを利用すると、現金の入出金管理から記帳、経費の管理まで、簡単にできるため、導入を検討してみましょう。
集客方法を確立
営業のスタートに向け、集客方法も検討し始めなくてはいけません。
レンタルサロンやシェアサロンは、実店舗がなく、飛び込みのお客様が期待できないため、効果的な広告・宣伝方法は、何といってもSNSです。
ホームページやInstagram、LINEの開設はもちろん、電話予約だけでなく、24時間予約受付ができるよう、予約ツールも導入しましょう。
エステティシャンやセラピストの写真や実績を紹介したり、提供するメニューの効果を掲載したり、初めての方の不安を取り除けるような内容にすると、来店につながりやすくなるでしょう。
時間はかかるかもしれませんが、地道に続けていくことが大切です。
一人でも多くの方に足を運んでもらえるよう、頑張りましょう。
リスク対策も重要
個人で経営するとなると、トラブルに備えたリスク対策も欠かせません。
エステサロンでは、お客さまの肌トラブルが心配されますが、その他にも、備品の破損や貴重品の紛失、接客へのクレームなども考えられます。
あらかじめトラブルにどう対応するのかを考えておくとともに、美容サロン向けの損害賠償責任保険もありますので、検討してみましょう。
自分らしいサロンを作るために
フリーランスとして活躍するからには、「自分らしいサロンを作りたい!」と考える方も多いはずです。
最後に、自分らしいサロンを作るためのポイントをご紹介します。
最もかなえたいことを実現しよう
自分のサロンで最も実現したいことを明確にすると、理想のサロンが開業できるでしょう。
例えば、癒しの効果を何よりも実現したいなら、癒し効果のあるメニューを揃えることはもちろん、リラックスできる音楽を選んだり、良い香りを用意したり、さまざまな工夫が考えられるはずです。
自分の希望をどうかなえるかを追求すると、きっと理想のサロンが完成し、気に入ってくれるお客様も現れるでしょう。
生活スタイルに合った働き方を
自由な働き方ができるフリーランスですが、長く働き続けるためには、体調管理が何よりも大切です。
働く時間を自由に決められるというメリットがありますが、働き過ぎや不規則な生活が続かないよう、生活スタイルに合った働き方をしましょう。
お客様目線を忘れずに
サロンを経営し続けるとなると、お客様の要望をかなえることも欠かせません。
例えば、週末は休みにしたくても、要望があれば、予約を入れることも検討したほうがいいかもしれません。
また、お客様からのレビューが良くなければ、「どう改善したらいいのか?」を早めに考える必要があります。
お客様からのニーズにもしっかり対応して、リピーターを増やしましょう。
まとめ
今回は、レンタルサロン・シェアサロンの種類や特徴から、選ぶ際のポイント、開業の流れなどについて解説しました。
特に、レンタルサロンとシェアサロンの利用にあたっては、特徴の違いやメリット・デメリットを十分に理解し、自分の働き方に適した施設を選ぶことが重要です。
開業前は準備に忙しいと思いますが、事前にしっかりと情報収集しておくと、不安の解消につながります。
慎重に準備を重ね、サロン開業の夢を実現しましょう。